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『決算書理解講座56 金利スワップの活用』

 

決算書理解講座55では「オプション取引」について説明しました。
今回は「金利スワップの活用」について説明したいと思います。

■背景とニーズ

金融自由化の進展で金融機関側・企業側双方において資金の運用・調達に対するコスト意識が変わり、企業としては機動的・効率的な運用・調達を、金融機関としては金利変動リスク、利鞘の明確化及び財務のスリム化と効率化のウエイトが高まり、スプレッド融資が主流となってきました。

外貨建てのスプレッド融資であるインパクトローンのうち、借入期間が1年超の中長期インパクトローンについても、企業側としては先行きの金利不透明感や為替変動のリスクを回避して調達コストと利益を確定したいといったニーズがあると思料します。

一方、金融機関側は中小企業向け小口のインパクトローンは手間がかかり収益が少なく説明不足によるクレームも出てくるといった課題が残ります。

また、海外との取引が進む中で、延払輸出入代金、海外投資等外貨債権・債務を有する企業は債権と債務のバランスと管理体制を整えつつ金利・為替変動リスクのヘッジを望み、また、金利及び為替相場の動きにより円よりも外貨建てによる運用・調達が有利と考える場合もあります。

これらのニーズに対し、金利・通貨のスワップ・オプション、先物取引手法などの活用が広がり出したという経緯がある。

■金利スワップの活用事例

<A社のニーズ>
固定金利の資金についてはB社に比べに有利に調達できるが、変動金利の資金を希望。
固定金利:7.0%
変動金利:LIBOR+0.25%

<B社のニーズ>
変動金利の資金についてはA社に比べ固定金利ほどの差がなく調達できるが、固定金利を希望。
固定金利:8.0%
変動金利:LIBOR+0.5%

A社が外貨建固定利付債を発行し、B社が変動金利の借入を行った場合、両社の利息に相当する金額を交換した場合の取引(金利スワップ)を見てみると、
<A社>
固定金利の支払:社債の7.0%
変動金利の受取:B社から7.5%
変動金利の支払:B社へLIBOR+0.25%
変動金利の受取:-

<B社>
固定金利の支払:A社へ7.5%
変動金利の受取:-
変動金利の支払:銀行借入LIBOR+0.5%
変動金利の受取:A社からLIBOR+0.25%
となり、

実質調達コストは、<A社> LIBOR+0.25%、<B社> 7.75%

金利スワップしなかった場合、<A社> LIBOR+0.25%、<B社> 8.0%
となることを考えると

差引メリットは、<A社> 0.5%、<B社> 0.25%
となる計算。

この場合、A社は固定金利の資金を調達したが、経済的には希望する変動金利の資金を得ることができ、B社はその逆の希望をかなえ、且つ全期間の採算を確定し有利なものとすることができていることがわかる。

290531スワップ図面①

元本の交換は行わず(オフバランス取引)、低コストの資金調達が可能となる。
※但し、手数料が発生すれば条件は悪くなり、低コストとはならない
可能性もあるので注意が必要です。

■円金利スワップ

基本的なデリバティブ取引でもある円金利スワップは、短期金利に底打ち感がある時や長期金利が一段と上昇してきた時など、金利上昇リスクを回避するため、既存借入金の支払金利を変動から固定に切り替えるため、円の変動金利と固定金利を交換するスワップ取引があります。

290531スワップ図面②

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は、「通貨スワップの活用」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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