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『決算書理解講座54 レバレッジド・リース』

 

決算書理解講座53では「リースの活用」について説明しました。
今回は、「レバレッジド・リース」について説明したいと思います。

仕組み

自己保有方式と匿名組合方式とに区分されます。

自己保有方式では、リース物件の貸し手はある程度の自己資金と相当の借入金によってリース物件の所有者となります。

リース期間をリース物件の法定耐用年数より長く設定し、リース取引による減価償却費を先行計上すること、及び金利を計上しリース期間前半に赤字を出し課税所得を減少させ、利益を後半に繰り延べることにより節税効果とリース事業の利益を得る仕組み。

匿名組合方式では、自らはリース事業者にならず、匿名組合の出資者として自己保有方式と同様の経済効果を享受しようとするもの。

リース物件の貸し手に対し、金融機関など(レバー)が融資を行い、てこ入れ(レバレッジ)し、リース取引が進められます。

経済効果

課税上の効果としては、①利益の繰り延べ、②節税による課税所得の減少、③課税所得の後送り、④償却資産へ買換え特例適用、⑤みなし外国税額控除の適用(リース物件を国外会社に提供)などが挙げられます。

リース期間における各年の損益、課税所得の算定方法は、

{(受取リース料)+(受取利息)}-{(減価償却費)-(支払利息等)}=課税所得

となり、各リース期間を通じて得られるこれらの効果と全期間の税引後利益累計額とがどのようになるか、などの試算を行った上での検討が必要となります。

また、資金上の効果としては、①資金回収期間の長期化、②節税による資金の流出防止と創出、③創出した資金の蓄積・運用などが挙げられます。

レバレッジド・リースの導入による留保資金は

{(受取リース料)+(受取利息)}-{(支払利息等)-(税金}}- 借入金返済
=留保資金 ⇒ 留保資金累計額

で算定し、リース期間の初期には資金をつくり出し、その後の期間は徐々に留保資金は減少するということを理解しておく必要があります。検討に際しては、全期間を通じた資金収支を十分に試算しておくべきでしょう。

留意点

もし、リース取引が否認され、金融取引等とみなされることになると、毎年度の損益状況、課税所得及び税額が大きく異なってしまうことになります。つまり、減価償却費の計上は否認され、金融取引としての貸倒引当金の繰入れとなってしまいます。
税制などの改定で否認されるリスクなども念頭に入れ、導入の検討を行う必要がある点も考慮したい所です。

ご理解頂けましたでしょうか?
次回は、「オプション取引」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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