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『知っておきたい法改正2017年
~個人情報・消費者契約~』

企業活動に関わる法律の中で、2017年に法改正されるものに個人情報保護法と消費者契約法があります。
そこで今回は、この2つの法改正の概略について見てみたいと思います。

個人情報保護法

2005年4月に全面施行された個人情報保護法ですが、ビッグデータの利活用に対するニーズの高まりなどを受け、約10年ぶりに法改正されます。
2017年5月に施行される改正個人情報保護法のポイントを見てみましょう。

■個人情報の定義を明確化
・個人識別符号の概念
・要配慮個人情報の新設(本人同意の義務化)

※要配慮個人情報は「本人に対する不当な差別、偏見などの不利益が生じないように特に配慮を要する情報」と定義。
本人の事前同意を得ずに取得することは禁止。
顔データなどの「個人識別符号」、健診結果などの「要配慮個人情報」を定義して規制する。

■適切な規律の下で個人情報等の有用性を確認
・匿名加工情報の新設(加工方法、公表など)
・個人情報保護指針の取扱い(届出、公表など)

※匿名加工情報は、本人の同意なしで利用可能に。

■個人情報の保護を強化(名簿屋対策)
・トレーサビリティの確保
・データベース提供罪の新設

■個人情報保護委員会の新設及びその権限
・個人情報保護委員会の新設
・立入検査権限などの追加

■個人情報の取扱いのグローバル化
・国境を越えた運用と外国執行当局への情報提供
・外国事業者への第三者提供(条件の整備)

■その他改正事項
・オプトアウト規定の厳格化(届出、公表など)
・利用目的の権限の緩和
・小規模取扱事業者への対応(個人情報5,000件以下の取扱事業者も対象となる)

※本人がデータ移転を知らない場合が多く、個人情報を第三者へ提供する際、記録作成が義務付けられるようになる。
また、提供を受ける側も取得の経緯を確認し、記録・保存する義務を負うようになる。

オプトアウトとは、本人が拒否した場合のみ第三者への情報提供を停止できることをいう。
この場合も、政府の個人情報保護委員会への届出を義務付けるなど厳格化される。

消費者契約法

消費者契約法は2001年4月に施行され、事業者が不当な勧誘を行い、それによって消費者が契約を締結した場合にはその契約の効力を否定できるように、といった規定や、消費者の利益を不当に害する契約条項を無効とするといった規定が定められた法律。

2017年6月に施行される改正消費者契約法のポイントを見てみたいと思います。

■不実告知における「重要事項」の拡大
「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」も「重要事項」に含まれる旨の規定が新設。

■過量契約による取消権の新設
必要以上に大量の商品などを買わされた場合、消費者は契約取り消しが可能となる。

■不当条項の追加(消費者の解除権を放棄させる条項)
事業者と消費者が契約をする際に、次の(1)・(2)の条項について、例外なく無効とする旨の規定が新設。
(1) 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項。
(2) 有償契約である消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる条項。

■消費者の利益を一方的に害する条項の前段要件の例示
例えば、賃貸マンションの契約者に対し「ウォーターサーバーを設置し、特にお断りの連絡がなければ同サーバーのレンタルを行う」といった契約条項があったとします。
その場合、消費者が積極的な行為を何もしていないにもかかわらず無条件に契約を成立させ、契約成立後には消費者の認識にかかわらず契約に基づく代金支払いを負担させるものとなるため、無効と判断される可能性が出てくるようになる。

■取消権を行使した消費者の返還義務の範囲の限定
不当勧誘による取消権を行使した場合の消費者の返還義務の範囲について、現に利益を受けている限度、とされました。

例えば、消費者が事業者からダイエットサプリメント5箱を1箱1万円(合計5万円)で購入。
2箱(2万円分)を消費した後になって、ダイエットサプリメントに含まれる成分の副作用に関する不実告知があったことが判明。
消費者が取消権を行使した場合、消費者はダイエットサプリメント3箱分を返還すれば足り、費消したダイエットサプリメント2箱の客観的価値(2万円)を返還する必要はない、ということになる。

■取消権の行使期間の延長
現行の消費者契約法は、取消権の短期の行使期間について、「追認をすることができる時から6ヵ月間」または「当該消費者契約の締結の時から5年」と規定している。

本改正法では、このうち「追認をすることができる時」からの行使期間を、1年間に伸長することとなる。

まとめ

個別の事案などは法律の専門家である弁護士の先生へご相談頂きたいのですが、個人情報保護法については、小規模事業者も対象に広がるため、中小企業も注意が必要となります。

「無知は経営に壁をつくる」とならぬよう、情報をしっかりインプットし、対応していくことが重要ですね!
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