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4.事業継承

『中小企業の事業承継~M&A・営業譲渡による株式評価引下げ~』

M&Aとは、Mergers and Acquisitions の略称で、企業の合併と買収を意味します。

中小企業の事業承継対策という観点からすれば、企業の買収(=買収先企業の株式取得)という意味に限定して見てみたいと思います。

企業を買収した場合の株価引下げ効果は、言いかえれば子会社株式を取得した場合の親会社株式の評価引下げ効果がどうなのか?といった点がポイントとなります。

親会社の純資産価額の引下げ効果

M&Aによる株式の売買価額は、被買収会社の相続税評価額上の純資産価額を上回ることが多い。

親会社株式の純資産価額を計算する場合、保有する子会社株式の時価と簿価との差額、すなわち、含み益部分については37%の控除(財産基本通達186-2)が認められるため、純資産価額を低く抑えることが可能となります。

類似業種批准価額の引下げ効果

M&Aによる株式の買収価額は、相当大きな金額になることを多い。

この買収資金を借入金でまかなった場合には、支払金利が増加するため、類似業種比準価額計算上の比準3要素のうち、1株当りの利益金額が減少することとなり、結果的に類似業種比準価額の引下げ効果が生ずるケースがあります。

土地保有特定会社が特定会社から外れることによる引下げ効果

M&Aによる企業買収前の会社が土地保有特定会社に該当している場合、その会社が借入金によりM&Aによる企業買収を行うと、その会社の総資産額が増加し、結果的に土地の保有割合が減少して土地保有特定会社の適用から外れる可能性が出てきます。

土地保有特定会社の適用が外れた場合、株価計算上類似業種比準方式の適用が可能となるため、株価引下げ効果を生むケースも出てきます。

 

営業譲渡と事業承継・相続対策

営業譲渡とは、会社が行っている営業に係る資産及び負債を譲渡し、さらに、人的な雇用関係については、その営業を継続させるために必要な人材を引き継ぐことにより、譲渡先において従来の営業を継続させる行為をいいます。

従って、営業譲渡は合併と異なり、資産・負債の売買契約となるため、一部の資産・負債だけを引き継ぎたい場合に活用されます。

事業承継及び相続対策として考えられる営業譲渡の場面として、

①相続の対象となる会社の株式が高く、いくつかの会社がある場合で、類似業種比準方式が適用になるように、含み益の多い会社が他の会社の営業譲渡を受けるケース

②土地保有特定会社又は株式保有特定会社に判定されるため、他の会社の営業譲渡を行い時価評価されることを回避するケース

③被相続人が持株比率の高い会社に対して営業譲渡を行い、事前に相続対策を行うケース

等のようなケースが考えられます。

会社に土地・ゴルフ会員権・有価証券などの含み資産がある場合、営業譲渡を行うとこれらの資産は原則的に時価によって売買されるため、含み益を実現してしまうことがあるので注意が必要です。

そのような場合は、営業譲渡を活用せずに合併などの方法を検討する必要があります。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は「役員退職慰労金」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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