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4.事業継承

『稼げる農業へ~農業競争力強化プログラム~』

毎年2兆円を超える予算を投入していながら、耕作放棄地は増え、農業従事者も減り続ける産業となってしまってる農業。

農林水産業によると、農業就業人口は1995年の414万人から20年後の2015年には210万人と半減し、農業所得は1994年の4.6兆円から20年後の2014年には2.8兆円と4割近く落ち込んでいる。

そこで今回は待った無しの状況となっている農業改革が進もうとしている方向性について見てみたいと思います。
農業競争力強化プログラムの概要

農業競争力強化プログラムは、平成28年11月、自由に農業経営ができる環境をつくり農業の構造的な問題を解決し、農業従事者の所得向上を図るために決定されたプログラムで、13項目からなる。

1.生産資材価格の引下げ
(肥料、農薬、機械、飼料など)
■生産資材価格の引下げ
○国際水準への価格引下げを目指す
○生産資材業界の業界再編の推進
○生産資材に関する法規制の見直し
○国の責務、業界再編に向けた推進手法等
を明記した法整備を推進

■全農改革(生産資材の買い方の見直し)
全農は、
○農業者の立場に立って、共同購入のメリットを最大化
○外部の有為な人材も登用し、資材メーカーと的確に交渉できる少数精鋭の組織に転換
○入札等により資材を有利に調達
○農協改革集中推進期間に十分な成果が出るよう年次計画を立てて改革に取り組む

2.流通・加工の構造改革
(卸売市場関係業者、米卸売業者、量販店など)
■生産者に有利な流通・加工構造の確立
○効率的・機能的な流通・加工構造を目指す
○農業者・団体から実需者・消費者に農産物を直接販売するルートの拡大を推進
○中間流通(卸売市場関係業者、米卸業者など)について、抜本的な合理化を推進し、事業者の業種転換等を支援
○量販店などについて、適正な価格での販売を実現するため、業界再編を推進
○国の責務・業界再編に向けた推進手法等
を明記した法整備を推進

■全農改革(農産物の売り方の見直し)
全農は、
○中間流通業者への販売中心から、実需者・消費者への直接販売中心にシフト
○必要に応じ、販売ルートを確立している流通関連企業を買収
○委託販売から買取販売へ転換
○輸出について、国ごとに、商社等と連携した販売体制を構築
○農協改革集中推進期間に十分な成果が出るよう年次計画を立てて改革に取り組む

3.人材力の強化
○新規就農者が営農しながら経営能力の向上に取り組むために、各県に「農業経営塾」を整備
○法人雇用を含めた就農等を支援
○外国人技能実習制度とは別の外国人材活用スキームの検討

4.戦略的輸出体制の整備
○平成31年の1兆円目標に向けて、平成28年5月の「農林水産業の輸出力強化戦略」を具体化
○日本版SOPEXAの創設(農業者の所得向上に繋がるブランディング・プロモーション、輸出サポート体制)

5.原料原産地表示の導入
消費者の選択に資するため、全ての加工食品について
○重量割合上位1位の原材料について、国別の重量順に表示することを基本
○実行可能性を考慮したルールを設定

6.チェックオフ(生産者から拠出金を徴収、販売促進等に活用)の導入
○チェックオフを要望する業界における検討手順(推進母体・スキーム・同意要件)を定め、一定以上の賛同で法制化に着手

7.収入保険制度の導入
○適切な経営管理を行っている農業経営者の農業収入全体に着目したセーフティネットを導入
・青色申告している農業経営者が加入
・農業収入全体を対象
・過去5年の平均を基準収入とし、収入減の一定部分を補てん
・保険方式と積立方式とを併用
○併せて、現行の農業共済制度を見直し
・米麦の共済制度の強制加入を任意加入に変更

8.土地改良制度の見直し
○農地の集積・集約化を進めるため、農地集積バンクが借りている農地のほ場整備事業について、農地所有者等の費用負担をなくし、事業実施への同意を不要とする

9.農村の就業構造の改善
○農村に就業の場を確保するため、工業等に限定せず、サービス業等についても導入を推進

10.飼料用米の推進
○多収品種の導入等による生産コスト低減、耕種農家・畜産農家の連携による畜産物の高付加価値化を図る取組等を推進

11.肉用牛・酪農の生産基盤強化

12.配合飼料価格安定制度の安定運営
○肉用牛・牛乳乳製品の安定供給を確保するため、繁殖雌牛の増頭、乳用後継牛の確保、生産性の向上、自給飼料の増産等を推進
○配合飼料価格安定制度の安定的な運営

13.生乳の改革
○生産者が自由に出荷先を選べる制度に改革
○指定団体以外にも補給金を交付
○全量委託だけでなく、部分委託の場合にも補給金を交付

農業の構造改革

農業改革関連法案として、農業競争力強化支援法(新規)、土地改良法(改正)、農工法(改正)、JAS法(改正)、畜産経営安定法(改正)、災害補償法(改正)、機械化促進法(廃止)、種子法(廃止)の8法案と全農の自己改革から構造改革を行っていくとしています。

国内最大の農業商社である全農による資材の買い方や農産物の売り方などが大きく変われば、そこに競争が生まれ、業界全体が効率よく変わっていけるかにも注目が集まる。

まとめ

TPPの行方が不透明となり農業改革のスピードが遅くなるのではとの懸念の声もあったが、TPP云々ではなく、農業改革は既に待ったなしの状況となっていると思料します。

プログラムの改革を進め、国内だけでなく世界に視野を広げることで不況産業がどう立ち直っていくのか。

また、変化の過程では様々なビジネスチャンスも広がります。

金融も農業への支援強化を打ち出す所が増えてきており、世界の中でも戦える農業づくりに今後も注視したい所です。

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