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『中小企業の事業承継~類似業種比準方式による株式評価額の引下げ~』

類似業種比準方式による株式の評価額を下げる方法を説明する前に、まずは評価の算出方法を改めて見ておきたいと思います。

類似業種比準方式による評価額の算式

評価=A×((B÷Ⓑ+C÷Ⓒ+D÷Ⓓ)÷3)×0.7×1株当りの資本金の額÷50円

Ⓑ:評価会社の1株当り配当
Ⓒ:評価会社の1株当り利益
Ⓓ:評価会社の1株当り純資産価額
A:類似業種の株価
B、C、D:類似業種の1株当り配当、利益、純資産価額

A、B、C、Dの数値は、類似業種ごとに国税庁から公表されている確定数値となります。

よって、評価会社について、次の策を実現できれば、類似業種比準方式による評価は下がることとなります。

①配当の引下げ
②利益の引下げ
③純資産価額の引下げ

1株当りの配当金額引下げの検討

1株当りの配当金額は、直前期末前2年間の1株当り配当金額(特別配当、記念配当を除く)によって計算されます。

<配当をゼロにする>
簡単に言えば、配当を2期(年)間ストップすれば、その後のⒷはゼロとなり、株価算定3要素のうち1つがゼロとなります。

<記念配当・特別配当の活用>
経営者の一族以外にある程度の株主がいる場合には、無配の措置はとりにくいといったケースがあります。

このような時には、配当金額の算定基礎には記念配当・特別配当を活用するのも良いかもしれません。

<従業員持株制度と「配当優先株」制度の採用>
従業員持株制度を採用している場合には、会社は実質的に相応の配当を維持していく責任が生じています。

このような時には、従業員持株制度を採用するにあたって、「配当優先株」制度を導入していると従業員株主に対して一定率の配当を確保しながら、従業員以外の株主については、低配当策を実行することも可能となります。

1株当り利益金額の引下げの検討

1株当り利益金額は1年決算の場合、次のような計算となります。

年利益金額=直前期の課税所得金額-土地売却益などの非計上所得
+受取配当金益金不算入額(所得税額控除後)

利益金額を下げる方法としては、法人税法などで認められている諸々の特例をきちんと適用することが基本となります。

①諸引当金・準備金への繰入れ、②棚卸資産・有価証券の評価における低価法の採用、③減価償却における特別償却・割増償却の活用及び方法の変更、④不良債権の処理及び不良資産の除却、など多数の方法があります。

また、これら以外にも大きく利益金額に影響する事項(引下げ方法)をいくつか見てみましょう。

<役員報酬の額>
経営者の報酬が高いと、個人財産の蓄積を通じて相続財産増加の要因となってしまうが、後継予定者である専務や常務などの報酬であればできるだけアップすることによって、相続財産増加の懸念なしに年利益金額の圧縮から株価の評価減へとつなげることが可能となります。

<会社の分割、別会社の設立>
高収益部門と低収益部門とがある時は、会社分割により高収益部門を子会社に移行したり、別会社を設立し、高収益部門の営業を譲渡するなど、高収益部門の移行を検討するのも1つの方法と考えます。

方法としては、①100%出資の子会社、②主として後継者及びその家族が出資する兄弟会社、にすることなどが考えられますが、オーナーは別会社の株式を保有しないことが望ましい。

100%出資子会社方式を例にすると、高収益部門を移行することで、利益の大部分は子会社の利益となり、配当をしない限り、毎期子会社に蓄積されることになります。

その部分については、親会社の年利益金額が減少することとなり、また、純資産価額の増加が抑制されるため、類似業種比準方式による評価額の引下げ効果は少なくないと考えます。

<役員退職金の支払>
オーナーが引退して、会社が役員退職慰労金を支給すると、その支給した事業年度については、その退職金は原則として損金に算入されるので、課税所得は大きく減少すると共に、当該期欠損計上なら純資産価額(簿価)も減少します。

よって、翌期の類似業種比準方式による評価額は相当に低下することとなります。

1株当り純資産価額の引下げの検討

純資産価額(簿価)は、従来の経営結果の集積であり、簡単に引下げることは難しい。

これまで記載してきた引下げ検討内容を行うなどし、その積み重ねが引下げに繋がります。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は「M&A・営業譲渡による株式評価引下げ」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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