会社の経営権支配の観点からすると100%の株式(議決権)は必要としません。

株主総会を制するには過半数の株式(議決権)があれば良く、また、定款の変更など株主総会の特別決議には3分の2以上の議決権を保有していれば特に問題は起こりません。

社長の持株割合が80%から60%に下がったとしても、会社の支配関係は変わりませんが、財産の相続税評価額は大きく減少することとなります。

そこで今回は、従業員持株会を活用した事業承継対策について説明してみたいと思います。

従業員が所有する株式の相続税評価

株式の相続税評価方法は、その所有者が誰であるかによって異なります。

オーナー及びその一族が所有している株式は、相続税において、会社の規模によっても異なりますが類似業種比準方式又は純資産価額方式によって評価されます。

一方、従業員や外部株主など少数株主の場合、相続税の評価方法は配当還元方式によって評価されます。

配当還元価額は、会社の平均配当率を額面に乗じて市場利子率で還元し株価を求めます。

相続税評価においては、2事業年度(2年間)の配当により平均配当率を算出し、市場利子率を10%として計算します。

その株式にかかる年配当率(2期平均)÷10%×その株式の1株当りの資本金の額

1株の額面が500円として、平均配当率が10%ならば配当還元価額は500円、20%であれば
1,000円となります。

5%未満の配当率の場合は5%配当とみなすとし、最低価額は額面の2分の1となります。

従業員がオーナーから株式の贈与を受けた場合

贈与税の計算は配当還元方式によります。

よって、平均配当率が10%の時は、額面価額によって譲渡を受ければ贈与は無かったことになります。

また、平均配当率が20%の時も、500円額面の株式を額面価額で1,000株譲渡受けたしても贈与を受けた金額は

(配当還元価額1,000円―譲渡価額500円)×1,000株=500千円

となり、贈与税の基礎控除600千円以内となるため贈与税は課税されません。

オーナーサイドからみても、額面による譲渡であれば、譲渡益は発生しません。

従業員持株制度の仕組み(個別参加方式と持株会方式)

<個別参加方式>
あまり従業員が多くない時は持株会を組織するまでもなく、従業員個人個人が自社株を保有する方式でも
可能。

但し、従業員が退社する際は、株式の処分(いくらで誰に売るか)について、あらかじめはっきりさせておかないと、後々問題が起こることになる可能性もあるので注意が必要。

<持株会方式>
従業員が持株会を組成し、持株会を通じて自社株を保有する方式。

持株会は通常、民法上の組合(個人の集合体)であり、権利及び義務は各個人に分割帰属します。

従業員持株制度に対する株式の供給ですが、上場会社と異なり、中小企業の場合、株式の供給源が限られるため、オーナー保有株の放出により行うケースが多い。

また、上場会社の従業員持株会のような積立方式を実情に合いにくく、株式の取得資金を融資するなどの制度を設け、対応することもあります。

従業員持株制度の利用と財産評価額圧縮効果

(例) 資本金 20百万円
発行済株式総数 40千株(額面500円)
内、社長持株80%、他は社長夫人及び常務(長男)が保有
相続税評価額 1株12,000円

社長の所有株式のうち8千株(発行済株式総数の20%)を従業員持株制度によって従業員へ譲渡したとします。(譲渡価額は額面価額の500円で行う)

この場合、社長の財産(自社株関係)の相続税評価額は

・社員持株制度活用前の社長持株評価額  12千円×32千株=384百万円
・持株制度活用後の社長持株興科学    12千円×24千株=288百万円
・持株制度への社長持株譲渡代金     500円×8千株=   4百万円
・社長持株放出による財産評価額の減少額            92百万円

と92百万円減少することになります。

弊社がサポートする場合ですが、税務上の対応は専門家である税理士の先生のアドバイスを頂きながら対応しております。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は「従業員持株制度の活用における注意点」について説明したいと思います。

お楽しみに!

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