決算書理解講座74では「財務分析手法~資金運用表~」について説明しました。
今回は、「財務分析手法~資金移動表~」について説明したいと思います。

企業の資金の動きをみるために、資金運用表では貸借対照表の運用と調達に分類、整理し一定期間内に資金がどのように調達され、運用されていくのかをみることができました。

しかし、資金のフローは捉えられないといった所が短所となります。

一方、資金繰表は、現金ベースの収入・支出は捉えられるものの、その原因となる各勘定科目の残高は捉えにくいといった点があります

そこで、2つの資金表の短所を同時に解決しようと考えられたものが「資金移動表」になります。

資金移動表は、損益計算書から売上高・営業外収益などの収入と売上原価・一般管理販売費・販売費・営業外費用などの費用をとり出し、それを前期と当期の貸借対照表の各資産科目(ストック)の増減高で修正して資金のフローを把握し、理論上の現金収支(実際の現金収支の近似値)を算出するものとなります。

資金移動表は、経常収支・経常外収支・財務収支に分類して作成されるのですが、特に重要となるのが企業の経常的な活動にかかる資金収支を表す「経常収支」になります。

経常収支=経常収入-経常支出

経常収入=売上高-売上債権増加額+前受金増加額+営業外収益

経常支出=売上原価+販売費・一般管理費+棚卸資産増加額
-仕入債務増加額+前受金増加額+前払費用増加額
-減価償却費-貸倒引当金増加額-その他負債性引当金増加額
-未払金・費用増加額+営業外費用

このことから経常収支は以下のようにして求めることができます。

経常収支=経常利益+非現金支出費用-増加運転資金

このように、経常収支は、その期の増加運転資金が経常的な経常活動により得られた収入により賄われたかどうかを示します。

マイナスの場合は、運転資金の不足を固定資金の収支尻や借入金等の経常的な収入以外で賄っていることを示し、資金繰りが悪化しているとも言えます。

この事例では、かろうじて経常利益は計上しているものの、経常収支尻は大幅なマイナスとなっています。

その原因は売上債権の増加(割引手形含む)と考えられますが、回収できない不良債権が増えたか売上債権が増えたのか?等、増加要因を確認しておくことが重要となります。

この経常収支に経常外収支と財務収支を加えると総合収支(現預金増減額)と近似値となります。

ご理解頂けましたでしょうか?

次回は「財務分析手法~生産性とは~」について説明したいと思います。
お楽しみに!

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