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『外国為替の知識を身につけよう
~輸入ユーザンスの概要~』

 

輸入手形が到着したからといって輸入者は直ぐに手形を決済できるとは限りません。
輸入者は輸入商品を手に入れ、これを販売して売り先から代金を回収し、この回収した資金を輸入手形の決済に充当するという流れが一般的。

しかし、手形到着時から販売代金回収時点までの金融が必要となってきます。
このような輸入者のニーズに応える金融が「輸入ユーザンス」となります。

輸入ユーザンスには、ある期間中の支払猶予や手形の期間を容認する主体が誰にあるかにより、銀行ユーザンスとシッパーズユーザンスに分けられます。
更に、自行ユーザンス(邦銀ユーザンスともいう)と外銀ユーザンスとに分かれます。

自行ユーザンス

自行ユーザンスとは、輸入手形の対外決済資金を邦銀において自らの外貨資金によって輸入者に貸付する方式の輸入ユーザンスを言います。

■信用状ベースの場合
①L/Cの発行
輸入者の依頼に基づき、銀行は「一覧払条件」の輸入信用状を発行

②対外決済
輸出地の銀行が買い取った一覧払手形は支払銀行に呈示され、支払銀行は信用状発行銀行の預け金勘定から代り金を引き落として決済。
この時点で、信用状に基づく輸入手形の対外決済は完了したことになり、同時に信用状発行銀行の輸入者に対する立替えが開始する。(ユーザンス利息の開始日)

③ユーザンス
信用状に基づく輸入手形が到着すると、発行銀行は輸入者に対して直ちに代金決済を求めずユーザンス期間に合せた外貨建約束手形を徴求し、手形期日まで支払猶予を許容する。

④期日決済
輸入者が外貨建約束手形を期日に決済することにより、銀行は自行ユーザンスを回収する。

■B/Cベースの場合
①輸入B/Cの対外決済とユーザンス
輸入B/Cの対外決済にあたり、輸入者から為替手形決済の肩代わりとして銀行が自行の外貨資金でもって立替払いを行う。
輸入者は、ユーザンス期間に見合った外貨建約束手形を振出し、手形期日までの支払猶予を受ける。

②期日決済
L/Cベースと同様。

③運賃・保険料ユーザンス
FOB建輸入の場合、輸入者が当該輸入にかかる運賃や保険料を別途支払わなければならず、この運賃・保険料を銀行が立替え、その外貨資金を輸入貨物に係わる自行ユーザンスと併せて支払猶予を行うことをいう。
CIF建輸入の場合は、支払うべき貨物代金として運賃・保険料が含まれているため、その輸入手形決済でユーザンス許容を受けることが運賃・保険料についても支払猶予を受けられることとなる。

 

 

外銀ユーザンス

外銀ユーザンスは、信用状に基づいて輸出者が振り出す「期限付為替手形」の名宛人をコルレス銀行とし、信用状発行銀行がコルレス銀行に事前に為替手形の引受を依頼することによって成り立つユーザンス方式。

この銀行引受を前提として、輸出者は取引銀行に手形を買い取ってもらことで輸出貨物代金を回収する一方で、輸入者は手形の期日まで代金の支払猶予が受けられるというのがこの方式の特徴。

シッパーズユーザンス

シッパーズユーザンスとは、輸入者が海外の輸出者(シッパー)から直接信用供与を受け、輸入貨物代金の支払猶予を受けるもののことをいう。

シッパーズユーザンスは輸入者の資金負担が無く、信用状発行などの費用が節約できるが、輸出者の資金力と輸入者の信用力が十分で代金決済に不安のないことが前提となるため、資本関係のある企業同士や商社の海外現法や海外支店との取引などで利用されることが多い。

輸入ハネ返り金融

輸入者が輸入ユーザンスを利用しても、ユーザンス期日までに売先から現金の入金が無い、又は、売先から受領した受取手形が現金化しない、といった際に円資金を借入することを「輸入ハネ返り金融」と言います。

ご理解頂けましたでしょうか?
次回は貨物貸渡(T/R)について説明したいと思います。
お楽しみに!

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